猫白血病闘病記②~治療開始から余命宣告~

猫白血病陽性と発症の診断を受け、関連疾患の一つであるリンパ腫の発症の有無を確かめるためエコーとレントゲンの検査を受けた琥珀。

結果としては、その時点でリンパ腫や内臓疾患などは認められませんでした。
あくまでエコーやレントゲン上の所見とは言え、やっと得られたプラスの報告にまずは胸を撫で下ろします。

しかし、猫白血病の現実は厳しいものでした。

FeLV性貧血の治療

琥珀は母子感染からキャリア状態だった猫白血病ウイルスを、既に発症していると思われました。

猫白血病の本格発症が見られた場合には、診断後の平均余命(厳密には中央値)は2.4年という報告があります。
現在の獣医療では有効な治療法は無く、非常に危険な感染症と言えます。

【獣医師監修】飼い猫が猫白血病ウイルス陽性と診断されたらどうするべきか | たかつきユア動物病院|高槻市栄町|犬・猫専門(ワクチン、健康診断も対応) (takatsuki-your-ah.net)

また、根本的な治療法が無い猫白血病に対する治療は、既に出ている症状に対する対症療法になるのですが、琥珀の場合はFeLV性貧血と呼ばれるもの。

FeLVによる貧血は、ほとんどの場合がウイルスによる骨髄抑制効果によって引き起こされる非再生性貧血(再生不良性貧血)で、治療への反応は乏しく予後不良です。まれ(約10%)に治療に反応を示す再生性の貧血が認められることもあります。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV) – オリーブペットクリニック (olive-sbk.com)

つまり、骨髄に入り込んでいるウイルスが悪さをしているせいで血液が作れなくなる為、増血剤の投与や輸血などの治療もあまり効果が無い場合がほとんどなのです。

とりあえずこの日は増血剤、インターキャットの注射をしてもらい、ステロイド(プレドニゾロン)、抗生物質の投与を行う事になりました。
これで自力で貧血を改善できるようなら再生性の貧血と言う事でまだ希望はありますが、これ以上少しでも貧血が進行するようなら輸血以外に延命手段はありません、と説明を受けました。

幸いにも、治療をして頂いた病院は輸血用の血液を提供してくれる供血猫を飼育していました。
通常の動物病院であれば、輸血を望む場合は飼い主さんサイドで供血猫を見つけて来て下さい、と言うケースも少なくありません。
しかしどんな猫でも供血猫になれる訳ではなく、年齢や体重、健康状態など、様々な条件をクリアする必要があります。飼い猫の血液型が稀だった場合、更に難しくなるでしょう。

「輸血を望むならいつでも出来る」と言う大変恵まれた環境が、琥珀の生死を分けたと言っても過言ではないと思います。

また、この日に先住猫の茶子さんの白血病血液検査も行いました。
結果は「陰性」

茶子さんは血液検査の数値もオール標準値で
優秀なシニアと褒められました。


半年ほど琥珀と同居し、トイレや食器の共有など感染条件は満たしていた茶子さんですが、あまり仲が良くなく最低限の接触だったのが良かったのか、感染していなかったのです!
悪夢のような一日の中で唯一の、心から安堵した出来事でした。

 

琥珀と茶子の明細書。この日1日で約5万5千円でした。

 

投薬開始

体調が悪いからか暗い所で寝たがったので、
黒いタオルを使ってベッド周りを暗くしていました。

その日は病院で先生に投薬を実演してもらい、次の日から私が琥珀に投薬をしました。
一日一回、ステロイドと抗生物質と胃薬の3錠を、何としてでも飲んでもらわなければなりません。

初めのうちは琥珀も私も不慣れなので、一回の投薬に30分以上かけて格闘しました。
嫌がり、泡を吹き、具合が悪いのに一生懸命逃げていく姿に泣きながら謝り、それでも何とか喉奥に薬を落としました。

しかし、そんな私も闘病期間中、何とか琥珀にとって薬が少しでも楽にならないかと色々と工夫し、今では一瞬で投薬を終えられるお薬マスターです(笑)。
投薬については苦労されている飼い主さんも多いと思いますので、また別記事でまとめようと思います。

増血剤を打ち、ステロイド投薬を開始した2日後にはまた病院で血液検査を行いました。
増血剤の効果を見る為です。
結果、大きな改善は見られなかったものの貧血の進行も無かったので、ステロイド投薬で様子を見る事になりました。
「もしかしたら再生性の貧血なんじゃないか…」と一筋の光が見えた瞬間です。

琥珀もステロイドと食欲増進剤の影響か、少しずつカリカリを食べてくれるようになっていました。

7月13日の琥珀。自分からカリカリを食べています。


ほんの数粒でしたが、ご飯を食べている後ろ姿が涙が出る程嬉しかったです。
このまま元気になる事を祈って、近所のドン・キホーテで高カロリーで食べやすいウェットフードを買い漁りました。

カリカリよりもペースト状のフードの方が食べやすいようでした。

良い報告が続き、このまま琥珀は元気になるのではと前向きな気持ちになった次の日。
琥珀の容態が急変しました。

余命宣告

顔を持ち上げるのも怠そうで、ほとんど動けなかった琥珀。

少しだけど自分でご飯を食べてウンチもした次の日の朝、琥珀は昨日の調子の良さが嘘のようにぐったりしていました。
今までどんなに食欲が無くても食べてくれていたチュールも食べません。
命綱のように感じていたチュールからさえ怠そうに顔を背ける姿に、「あぁ、もう本当にダメなのかもしれない…」と絶望的な気持ちになりました。

その日は朝一で病院へ。
車の運転中に琥珀が死んでしまうのが恐ろしくて、母に一緒に来て欲しいと頼みました。
琥珀はすぐに看護師さんに引き取られましたが、私と母は待合室で随分長い間待っていたように思います。
地獄のような待ち時間に、隣に居てくれた母には本当に感謝です。
そして血液検査の結果ですが、やはり貧血が進行していました。

 

 

輸血をすればとりあえずの延命は出来るし、稀ではあるが輸血の刺激で造血機能が戻る可能性もある。勿論副作用のリスクはあるが、一度も輸血せずに諦めるのは早い、と先生に言って頂き、輸血を決断しました。
もしこれでダメだったとしても、琥珀の為にやれる事は全てやった、と思いたかったからです。
延命の為ではなく、造血機能を戻すための最後の治療として、輸血を選択しました。
琥珀は半日入院となり、夕方頃に私が迎えに行きました。
こちらが、輸血後の血液検査結果です。

 

 

悲しいくらいに、変わっていませんでした。
造血機能云々の前に、物理的に血液を入れたのにこんなに変わらない事ある?入れたはずの血はどこ行っちゃったの?とぼんやり思った事を覚えています。

先生のお話では、白血球の数が足りないので出血しやすく、体のどこかで内出血が起こっているのかもしれない。
輸血をした割にはあまり数値は良くならなかったが、増血剤も打ったので今は多少元気。
ただ、このまま造血機能が戻らなければ、また輸血を繰り返す以外に延命する手段はない、との事でした。

この子の為なら何でもするのに、なんだってするのに、もうしてやれる事がほとんど残っていない。
目の前の琥珀は鼻も耳も真っ白で、息も荒く、キャリーケースの中から、じっと私を見つめています。
その姿に、初めてキャリーケース越しに琥珀と対面した時の、幼い顔が重なりました。

 

一番最初に撮った一枚。
初めて会った時から私に喉を鳴らしていた甘えん坊です。

 

半年前、この子を家族として迎えた時、幸せにすると誓いました。
甘える事が好きで、イタズラが好きで、食べる事と遊ぶ事が大好きな琥珀。
その全てを奪ってまで、私の寂しさの為にただ生かす事が、この子の幸せなのか。

 

違うだろう、と、この輸血の結果を見て踏ん切りがつきました。

 

「どんな形でも良いから生きていて欲しい訳じゃないんです。
元気で、幸せに、生きていて欲しい。それが望めないなら、この状態で数日延命する事しかできないなら、輸血はもうしません。
その場合、琥珀は後どれくらいでしょうか」

「そうですね…この血液検査の結果だと、次の土曜日までもつかどうか、だと思います」

 

 

告げられた余命は6日間。
猫白血病ウイルスの陽性と発症を診断された7月12日から、僅か4日後の事でした。

猫白血病闘病記③~緩和ケアと奇跡~ に続きます。

2件のコメント

いまの元気な( 暴れん坊な )琥珀ちん知ってるけど この期間の 飼主様の 心の葛藤とか すごく引き込まれる 物語 のよーに 引き込まれるっす。
続き 無理ない程度に 待ってます!

… 茶子姫 出会い編とかも 実は 気にります^ᴗ.ᴗ^♡

たゆひまさん、コメントありがとうございます~✨
そう言って頂けてとっても嬉しいです…!
茶子さんとの出会いも今だったらなかなか問題になりそうなショップさんからだったりします…
それについても紹介できるように書いてみますね!

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ハナ
猫好きなOL。
アメリカンショートヘアーの箱入り娘茶子と、「顔が良いクソガキ」ことキジ白の琥珀と暮らす。
飼い猫2匹が元気で幸せならとりあえず全てを許す女。
猫とお酒とジャンクフードをこよなく愛す。