輸血の効果かステロイド投薬の効果か、RETIC(網状赤血球数)の数が増えていた琥珀。
まだ造血機能が死んでいないと判断し、本格的に貧血の対症療法を行う事になりました。
闘病中に気を付けたい出血と二次感染
造血機能がある事は分かったものの、琥珀は依然酷い貧血です。
もっともっとRETICが増えてくれなければなりません。
そこでこの日は増血剤を打ってもらい、追加のステロイドと胃薬、また白血球が少なく免疫力が下がっているので、抗生物質を出してもらいました。
この時期の琥珀が気を付けなければならない事は、二次感染と出血です。
猫白血病ウイルス感染症の大きな特徴は、「日和見感染(ひよりみかんせん)」を起こしてしまうことです。そのため猫白血病ウイルスに感染し発症したとしても、特有の症状が見られるわけではありません。
日和見感染とは免疫力が低下することにより、健康であれば感染症を起こさないような病原体に負けてしまい病気になってしまうことです。
特定の症状が出るわけではなく、風邪をひきやすくなったりなど様々な病気を発症してしまいます。その中でもよく見られるのが、口内炎や貧血、下痢や吐き気などの症状です。免疫力が低下してしまうと病気にかかりやすくなるだけでなく、治りにくくもなってしまいます。
【猫白血病ウイルス感染症】猫白血病ウイルス感染症とは?その症状や治療法を解説 | 佐倉市の動物病院で口コミNo.1 | 若山動物病院 (dr-nyan.com)
この時点での琥珀の症状は貧血と、それに伴う元気消失、食欲低下のみ。
下痢も口内炎も風邪の症状もありません。
しかし、猫白血病の影響で抵抗力が弱まっている今、琥珀は様々な感染症にかかる危険がありました。
また、白血球の減少により出血が止まりづらかったり、怪我が治りづらくなっているのも問題でした。
血液検査や点滴の際にも、針を刺した部分には半日ほど包帯を強く巻いて様子を見ます。
自宅に戻ってからも、どこかにぶつけたりして内出血や引っかき傷を作らないよう、注意して見守る必要がありました。
傷が出来てしまうと出血が止まりづらいこともそうですが、そこから二次感染しやすくなるからです。
自宅で行った対策としては、まず琥珀の隔離部屋の模様替えを行いました。
琥珀はベッドの下に入り込むのが好きだったのですが、ベッドの下はどうしても埃が溜まりやすく、衛生的とは言えません。
狭い隙間に無理矢理入ろうとして怪我をするのも心配だったので、ベッドの位置を移動し、隙間にダンボールやクッションを詰めて下に潜れないようにしました。
それでも具合が悪いからか本能的に暗い所へ行きたがるので、琥珀が安心できるようベッド周りを黒いタオルで覆い、薄暗くして居場所を作りました。
と言ってもこちらはあまり気に入らなかったようですが…。
外から帰ってきたら琥珀を触る前に手を洗う、服も着替える、薬を飲ませる前にはまた手を洗う、など、人間から琥珀に何かしらの菌を移さないようにも気を遣いました。
口内炎防止の為に歯磨きもしたかったのですが、この時はまだ白血球が少なく、歯磨きで出血する可能性があったので延期に。後に貧血がほぼ正常値まで回復してから開始しました。
代わりにこの時期には飲み水に混ぜるタイプのデンタルケア商品を使っていました。
茶子も琥珀もまったく気にせず飲んでくれたので良かったです。
とにかく体力を付けて免疫力を上げてもらいたかったので、まだまだおやつは好きなだけ与えていました。
ただ、普通のチュールではなく総合栄養食チュールにする、腸内環境を整える為に乳酸菌シーバにする、など地味な事はしていましたが(笑)。
この時期の琥珀はまだ50%くらいの食欲しかなく、チュールやチュールビッツ、鶏ささみなど、大好物でない限り基本的に食いつきが悪かったです。
なので飼い主は琥珀が少しでも食べたくなるように、スーパーやネットをはしごしては嗜好性が高いフードを買い漁っていました。
チュール以外で琥珀が好きだったのは、ママクックのフリーズドライシリーズです。
病気になる前にも一度買ってみたのですが、袋を破って盗み食いする程好きでした。
Xのフォロワーさんにも公式ホームページで無料で試供品を貰えると教えて頂き、すぐに注文。色々な種類のフリーズドライが入っていて、琥珀の好き嫌いを把握するのにとても役立ちました。
ただ、届くまで1ヶ月ほどかかると連絡があり、当時は琥珀が1ヶ月持ちこたえられるか分からない状況だった為、私は普通にアマゾンでも購入。
食欲が無い時期だったのにも関わらず、このふりかけを掛けると明らかに食いつきが良くなりました。
食べる事は、生きる事。
琥珀の闘病期間中、本当にこの言葉が身に沁みて感じられました。
猫のステロイド治療
猫白血病ウイルスを退治する根本的治療法はありませんが、対症療法として
・抗生物質
・インターフェロン
・抗がん剤
・輸血
・ステロイド
などがあります。
猫白血病ウイルス感染症では猫ごとに発症する症状が違うので、その子に合わせた治療を行います。
琥珀の場合はステロイドと抗生物質の投薬を行いました。
ウイルスによる骨髄抑制で血液が作れなくなっているので、ステロイドでウイルスの働きを抑えつつ、ステロイドの免疫抑制作用による二次感染を抗生物質で予防しよう、と言う作戦です。
ステロイドと言うと副作用などの怖いイメージを持っている方も多いと思いますが、「よく効き、早く効き、安価」と言う理由で幅広い治療に使われている良い薬でもあるんですよ。
ステロイドを怖い薬と思ってる飼い主様は多いですが、使い方を間違えなければそんな事はないです。
炎症を抑える力、アレルギーで免疫を抑えたい時などには、速くよく効くいい薬です。
・適量を短期間、頓服
・急に使用をやめない
・肝臓や副作用のチェックをする
獣医さんの指示通りに使いましょう
【猫のステロイド】効果と副作用の症状を獣医師が解説!【注射をすることも多い】 (marimo-vet.com)
治療薬として使用されるステロイド剤には、様々な種類があり、 それぞれに抗炎症作用の強さ、作用時間の長さなどが違います。
琥珀はプレドニゾロンと言うステロイドを使っていました。
副作用の誘発が少なく、ステロイド剤の中でも特に多くの疾患・症状で使用されている薬です。
とは言え長期の使用を行えば副作用のリスクは上がるので、先生の判断の元、慎重にステロイドの量を調節していきました。
初めはガツンと1錠。症状が落ち着いて来てからは半錠、4分の1錠、4分の1錠を2日に1回…と言うように、少しずつ、少しずつです。
幸い琥珀は肝機能障害や糖尿病などの重篤な副作用が出る前にステロイドを完全に離脱する事が出来ましたが、やはり小さな副作用は見られました。
その1つが、多飲多尿です。
よく水を飲み、ジャーッと音がする程大量のおしっこをしていました。
また、副作用の1つとして食欲増進作用がありますが、こちらはそれ程感じず。
段々食べるようにはなっていきましたが、体調の回復に合わせて増えている感じでした。
「こんなに食べるなんてきっとステロイドの効果なんだろうな」と思っていた時期もありましたが、ステロイドを離脱しても食欲旺盛っぷりは変わらず。
元々食いしん坊な子だったので、元の状態に戻っただけのようでした。
琥珀に見られた副作用はその程度でしたが、他にも高血糖、高脂血症、高血圧などの副作用も起こり得ます。
投薬中は注意深く琥珀の様子を見守り、通院の度に血液検査をして異常が無いか確認していました。
猫のステロイド投薬で多くの飼い主さんを悩ませる事になるのが、恐らくステロイド剤の苦味だと思います。
琥珀も、抗生物質や胃薬などの錠剤は比較的簡単に飲み込んでくれるのに、ステロイドの錠剤だけは苦手でした。
投薬の際、少しでも舌に錠剤が触れると苦味からか大量の泡を吐きます。
ステロイドの錠剤は他の薬に比べて溶けやすい事もあり、琥珀が泡状の涎を吐くとあっという間にボロボロになりました。
するとさらに投薬しづらくなり、もう地獄絵図です。
粉砕した錠剤をチュールに混ぜましたが、苦味でバレて食べず。
大好物のチュールすら嫌いになりかけたので慌てて中止しました。
次にチュールビッツや薬を包む系のおやつに錠剤を埋め込んであげてみましたが、これもまぁ上手におやつ部分と薬を分離させて食べるので断念。
色々試してみるうちに、「飼い主がくれるものには全部苦いものが入ってるのかも…」みたいな疑いの目を向けられるようになり、このままじゃいけない、とおやつで誤魔化す系のあげ方は全て止めました。
ストレスの多い闘病生活で、数少ない楽しみである食事の時間まで警戒してほしくなかったからです。
そんな飼い主が最終的に行き着いたのが、ステロイド錠剤をピルクラッシャーで粉砕し、カプセルに詰めると言うやり方でした。
カプセルに詰める事で、まず匂いでバレづらくなり、味がしないので舌に触れても泡を吹かなくなり、カプセルに入っているので溶けづらくなり…と、とにかく良い事尽くめでした!
琥珀も一度「苦くない」とわかると必要以上に緊張して逃げなくなり、他の薬同様スムーズに飲んでくれるように。
飼い主側も猫側も大幅にストレスを軽減できたので、ステロイドの投薬でお悩みの方には是非1度試して頂ければと思います。
一進一退
二次感染と出血に気を付けながらステロイド治療を続け、一週間後。
再び病院で経過を確認するため血液検査を行いました。
結果は・・・
すさまじい回復でした!
貧血の数値も前回より大幅に改善されているのですが、驚くべきはRETICの数値です。
前回の31.7から167.3に激増!
ステロイド投薬でウイルスによる骨髄抑制が抑えられているため、体が貧血に対応しようと大量の赤血球の赤ちゃんを作っていました。
これだけRETICが上昇していれば、来週の検診時にはほぼ正常値まで貧血が回復しているだろうと思われる数値です。
先生からも「ステロイドにかなり良い反応を示してくれています。とりあえず山場は超えました」とお墨付きを頂き、嬉しくて嬉しくて涙が出ました。
そしてこちらが、その次の診察時の血液検査結果です。
やはり貧血の数値はほぼ正常値まで回復。
RETICも以前高い数値で、まだまだ血液が作られていることを示しています。
この時点で、今まで1錠飲んでいたステロイドを半錠に減らすことになりました。ここから琥珀の血液検査の結果を見つつ、徐々にステロイド離脱に入ります。
また、この頃から琥珀の免疫力向上の為にD-フラクションというサプリメントを導入しました。
マイタケ D-フラクションは活性β-グルカン蛋白複合 体を主体とした画分で、 経口投与することによって、 生体の免疫機能を賦活させ、又、 免疫力を高めることによって、発ガンを防ぎ、ガン細胞の増殖や転移を抑制する動きが あると言われております。
http://www.jcam-net.jp/data/pdf/01004.pdf
以前は動物用のD-フラクションも販売していたようですが、現在は生産停止になっています。
しかし人間用のD-フラクションも成分はほぼ変わらないので、琥珀の場合は1日1回、ウェットフードに6滴混ぜて毎日与えていました。
現在も健康維持の為与え続けています。
私の場合は担当の先生が与えても良いと仰ったため与えていましたが、サプリとは言え猫ちゃんに試す際には必ず担当の先生に相談してください。
さらに、白血球の数値も改善したので歯磨きも始めました。
最初は歯磨きシートから始め、口を触られることに慣れてもらい、最終的には歯ブラシで磨けるように。2日に1回、朝の歯磨きを現在も続けています
猫白血病キャリアの猫は難治性口内炎のリスクが上がるので、歯磨きは大切なケアの一つです。
歯磨きの際に口の中に傷や炎症がないか、歯茎の色から貧血具合などもチェックできるので、健康な猫ちゃんでも無理のない範囲で出来ると良いですね。
この頃になると貧血の改善に伴って、食欲も完全復活してきていました。
あまり食べられなかった時期にとにかくハイカロリーのペースト状フードやおやつを与えたのが良かったのか、大きな体重減少も無く、比較的体力の回復が早かったです。
よく遊ぶようになったので、それまで6畳だった隔離部屋を12畳に拡張。
それまでは安静と怪我防止の為中止していたオモチャも解禁していきました。
隔離部屋に少しずつ爪とぎや猫じゃらしを増やし、琥珀が猫らしく過ごせるように環境を整えるのは楽しかったです。
「病室」から「琥珀の部屋」に変える事で、気持ちまで前向きになるような気がしました。
そうして迎えた8月9日。
「1歳にもならないで死んでしまうかもしれない」と飼い主を泣きに泣かせた琥珀が、無事1歳の誕生日を迎える事が出来ました。
手作りのケーキにプレゼントで、家族みんなでお祝いした事は一生忘れられません。
今まで家族や友人の誕生日を何度も祝って来ましたが、この時ほど「生まれてきてくれて、今日まで生きていてくれてありがとう」と思った事はありませんでした。
勿論今までのお祝いでもその気持ちは持っていましたが、琥珀の闘病生活で改めて強く、誕生日を迎えられる奇跡を実感できたと思います。
これが琥珀にとって最初で最後の誕生日になったとしても、どうか楽しい思い出としてこの子の記憶に残ると良い、と願いました。
誕生日の後も琥珀は調子が良い日が続き、8月26日の血液検査結果では貧血が完全に改善。
ステロイドを4分の1錠に減らす事になりました。
が、次の9月12日の血液検査では、RETICが2.2まで減少。
このままでは再び貧血になる、と言う事で、先手を打って増血剤を投与。
ステロイドも4分の1錠から半錠に戻しました。
これがステロイド離脱の難しさです。
「ステロイドの長期投与による副作用を避ける為に、初めにガツンと使ってなるべく短期間で離脱したい」
「けれどあまり減らすペースが早いと再び症状がぶり返す」
このジレンマの中、琥珀の体調と相談し、徐々に徐々にステロイドを減らしていかなければなりません。
今回の血液検査の結果を受け、完全に貧血恐怖症になっていた私は新たに鉄剤を購入しました。
今まで使っていたリキッドタイプの鉄剤よりも、多くの鉄分が入っているタブレットタイプのものになります。
琥珀はすっかり投薬に慣れてきていたのと、この鉄剤自体カツオ風味の食べやすいものである事もあり、あまりストレスなく飲んでくれていました。
新しい鉄剤のお陰か、早めに投与した増血剤の効果か、次の検診ではRETICは15.3まで回復。
恐れていた貧血も見られず、もう一週間半錠で様子を見た後、再び4分の1錠に減薬する事になりました。
その後のステロイド離脱は順調に進み、毎日4分の1錠から1日おきに4分の1錠へ。
そして11月26日からは遂に完全にステロイドを止めました。
12月に入ってからは貧血以外の症状(リンパ腫やステロイドの副作用による内臓疾患)が出ていないかを確かめる為のレントゲン、エコー検査を2回に分けて行い、どちらも問題なし。
発病以来毎日続いていた投薬もなくなり、隔離されていると言う事以外は普通の猫と同じように過ごす事が出来ていました。
年明けには茶子さんと一緒に健康診断を受け、こちらも問題なし。
この頃になってようやく、私はある決心をします。
もう一度、猫白血病の検査を受けてみようと。
猫白血病の陰転
猫白血病ウイルスが血液検査で陽性だったものが陰性に変わる事を「猫白血病が陰転した」と言います。
この陰転には2種類あり、
①一過性感染。猫の免疫力がウイルスを体内から完全に追い出す。完治。
感染初期に有効な免疫応答が体内ではたらいた場合には、ウイルスを体内から完全に排除することができます。その結果、ウイルス検査では陰転し、FeLV関連の疾患の発症は認められず、新たなFeLVの暴露に対しても抵抗性(感染しにくくなる)を獲得します。
一過性のウイルス血症は1~16週間続き、16週間以上ウイルス血症がみられる猫は持続感染と考えられます。
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②潜伏感染。ウイルスを量産していないだけで体のどこかに隠れている。
持続感染成立の場合と同様に骨髄までの感染が成立した後、ある程度の免疫応答によってウイルスが排除され、検査は陰転しますが、ウイルスは骨髄やリンパ節の染色体にプロウイルスとして組み込まれ潜伏感染しています。
その後、潜伏感染のままでいることもありますが、免疫応答が優勢になった場合にはウイルスを完全に排除することもあり、一方、出産などのストレスやストロイド剤の投与などによってFeLVの増殖が活発化し、持続感染となってしまうこともあります。
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通常の簡易検査では今現在血中に猫白血病ウイルスが存在するかしか分からない為、①の場合であっても、血液中にウイルスをばら撒いていない②の状態であっても、検査結果としては「陰性」と出ます。
なので2つを区別する為には猫白血病プロウイルス遺伝子検査が必要です。
琥珀の場合は母子感染、もしくは生まれて間もない時期に他の猫から感染し、持続感染に移行後発症したと考えられます。
なので一過性感染のケースには当てはまらないのですが、潜伏感染から免疫応答が優勢になり、完全排除の可能性ならばまだあるのではないかと希望を持っていました。
特に、ステロイドを完全離脱してからの琥珀の元気な様子と健康診断の結果を見て、もう一度検査をしてみたいと思ったのです。
検査結果が陽性でも陰性でも琥珀の今の生活を大きく変える予定はありませんでしたが、今後の治療方針の確認の為にも、今一度予後を確認したいと言う思いがありました。
担当の先生にその旨を伝えたところ、
「そうですね。琥珀ちゃんかなり良い状態なので、ここら辺で一度確認してみましょうか」
と言ってくださいました。
とは言え、子猫の内に感染し、持続感染になった猫の陰転確率はほぼゼロに等しいです。
いわゆる陰転と言うのは、ほとんどが持続感染になる前の段階でウイルスを排除するケースになります。
最初に陽性と出ても、4カ月間はあきらめずに陰転することを祈るべきです。ただし4カ月たってまだ陽性の場合には、持続感染になってしまったと考えられます。
こうなるとウイルスが消える可能性は非常に少なくなってしまいます。
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だからあまり期待せず。どんな結果でも、琥珀が幸せに生きられるように、出来る事をやるだけなんだから。
そう自分に言い聞かせながらも、全身が震える程緊張して検査結果を待ちました。
そして―…
「検査結果出ました。琥珀ちゃん、陰転してますね」
笑顔の先生が差し出した検査結果に、涙と手の震えが止まりませんでした。
猫白血病を診断されたあの日も、ブルブル震えながら受け取った検査結果の紙。
あの時死ぬほど憎かった【陽性】のチェックが、今回はしっかり【陰性】に付いていました。
猫白血病陽性と発症の診断から約7カ月。
病院に行く度震えながら診察を受けたり、薬が苦くて泡を吹いたり、採血が怖くて車の中でお漏らしをしたり。
琥珀にとって楽ではなかっただろう日々が報われたように感じ、嬉しくて言葉が出なかったです。
しかし、これで完全に終わった訳ではありません。
琥珀の場合はまだ体内にウイルスが残っている潜伏感染の可能性が高く、ストレスや免疫力の低下でウイルスが再活性化する事も考えられます。
なので、半年から1年後に再び猫白血病の検査を行い、そこで陰性であればプロウイルス遺伝子検査を行う事になりました。
この検査でも陰性であれば、ようやく琥珀の体内から完全にウイルスが排除されたと思ってよいだろう、と。
その日を迎え、「琥珀はこの病気と闘って勝ったんだ」と胸を張って言えるようになるのが、今の私の目標です。
ただし、そう言えるようになったとして、この恐ろしい病気の影響は生涯に渡って残ります。
ウイルス感染からの回復がみられた猫は二度とFeLVに感染することはありません。ただし、その後何もないかというと、決してそうではなく、一度細胞の中にウイルスの遺伝子が入り込んでいますので、やはり遺伝子の一部に異常が起こっている可能性もあります。このため、一度も感染したことがない猫に比べリンパ系のがん(悪性腫瘍)発生のリスクは高いとされています。
猫のウイルス病公式サイト FeLV,FIV&FIP Community Site [FeLVとは?] 感染から発生 (catvirus.jp)
本当に理不尽で、憎く、怖い病気なんです。
けれど、琥珀は余命一週間の宣告からここまで持ち直してくれました。
一生他の猫より頻繁に検診が必要で、サプリを飲み続けてもガンになるリスクは高いかもしれません。
それでも今は、毎日元気に遊んでたくさん食べて、普通の猫と同じように楽しく過ごしてくれています。
ノーキャリアの猫より多少のケアは必要になりますが、琥珀にとって平凡で幸せなこの日々を
1日でも長く守っていけるように。
目指すは20歳のご長寿猫です!
長くなってしまいましたが、ここまで琥珀の闘病記録を読んで下さりありがとうございました。
「子猫の感染でも、発症しても、余命宣告を受けても、陰転まで回復した猫がいた」
と言う事実が、今まさに不安と恐怖の中猫白血病について調べている飼い主さん達にとって、少しでも希望になればと思います。
治療や闘病について、もし何かご質問などございましたら
お気軽にコメントやお問い合わせフォームにてご連絡下さい。
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